防衛省の給油量訂正の隠蔽、厚生労働省の肝炎患者リスト放置、そして守
屋武昌前防衛事務次官の接待疑惑…。「新たな3点セット」とも呼べる相
次ぐ問題発覚で福田康夫首相は初めて大きな試練に直面した。「官僚寄り」
といわれる首相だが、官僚の不祥事連発にいらだちは隠せない。問題閣僚
をかばい続けた「負の連鎖」が安倍晋三前首相の政権運営の蹉跌となった
だけに、首相には「突き放し」で危機を乗り切ろうとする思惑も見える。

 

閣僚の不祥事が連発したのが安倍政権であったが、福田政権では官僚の不
祥事が連発している。本当にこの国は大丈夫かと言いたくなるほどの体た
らくではないか。とかく我が国の中央省庁は隠蔽工作が好きらしく、枚挙
にいとまがない。それだけに不祥事が起きるたびに膿を出し切るどころか、
かえって溜め込んでいるのではと思ってしまうのだ。故に根本的なところ
が改善されず、何度も不祥事が起きる原因となっているのではなかろうか。

 

自浄力を持ち合わせていないのなら、外から切り込んでいかざるを得ず、
それがまた官僚の抵抗を生む。そのような連鎖を断ち切るためにはと時間
をとられているうちに、官側は次々に既成事実を積み重ねていき、肥大化
していくのみだ。福田政権はそれを突き放すだけでなく、きちんと処分す
べき者は処分するなど官僚に阿ることの無い対応をすべきであろう。そう
でなければ国民が官僚を見る目が変わることは無いのである。