今年6月にドイツで開催された主要国首脳会議での安倍晋三首相と中国の
胡錦濤国家主席との首脳会談をめぐり、中国側がその直前の台湾の李登輝
前総統の訪日を理由に会談を拒否していたことが27日、複数の関係者の
証言で分かった。しかし、日本側が譲らず、中国側が全面的に折れるかた
ちで決着、会談は行われた。安倍前政権の中国に対する強い姿勢が奏功し
たといえるが、外交関係者には「親中色」が濃いとみられる福田政権が中
国に「与しやすし」と見られているのではないかとの見方が広がっている。

 

親中派と目される福田首相だが、確かに靖国神社の参拝をしないことを明
言した点は、曖昧戦術に徹した安倍前首相との違いは明確なものとなった。
ただし、そのようなことのみを取り上げて福田首相親中派であると断じ
るのはいささか性急な感もある。安倍政権が保守勢力の期待を背負って立
ち上がったのと同じく、福田政権は安倍政権で冷遇されてきたリベラルな
勢力の影響力が強いとされている。

 

福田首相が自身の政権での拉致問題の解決を明言したように、慎重な姿勢
に徹する中でも点数を稼ごうと必死な面も見受けられる。そんな中で中国
に迎合するような真似をすれば、国民の支持を失いかねず、親中派であろ
うがなかろうが、安易な真似は出来ないのではないか。片肺飛行を余儀な
くされる与党にとって、最後に頼れるのは国民の支持だ。比較的高い支持
率を保つ福田政権も、支持を失えば厳しい情勢になるのは言うまでも無い。