夜景を望むバスルームに専用サウナ、8畳の茶室に高級シャンパン、スコ
ッチウイスキーが並んだバーカウンター。会社更生法の適用を申請したN
OVAは30日、前社長の猿橋望氏が使っていた大阪市浪速区のビル最上
階の20階にある社長室を公開した。広さ約330平方メートル。改装費
用の約7000万円、月額約270万円の家賃はNOVAが負担していた
が、ほとんどの社員が入ったことはない。案内した社員も「うわさには聞
いていたがここまで豪華とは思わなかった」と驚きを隠せない様子だった。

 

事実上、経営破たんしたNOVA。猿橋前社長が81年に心斎橋に初出店
してから26年。「駅前留学」のキャッチコピーで業界最大手へとのし上
がったものの、その終焉はあまりにもあっけないものであった。解約ルー
ルの説明や中途解約時の清算金をめぐって、同社の受講生から苦情・相談
が相次いだことからも明らかなように、消費者軽視の姿勢が、NOVA崩
壊の引き金となったのである。最大手であろうが、ふんぞり返って商売を
していればこのような醜態をさらすことになるのだ。

 

会社を私物化した猿橋前社長については殊更言うことはない。破たん前に
関連会社の株を売り抜けていたとされ、日本人社員約2000人と外国人
講師約5000人への給与が未払いだとみられる中で、あまりにふざけた
話である。豪華な社長室には側近中の側近しか入室させなかったとの報道
だが、それが白日の下にさらされ、本当に怒りを憶えているのは他でもな
い、受講者である。