自民党伊吹文明幹事長は11日のNHKテレビ番組で、新テロ対策特別
措置法案をめぐり、参院福田康夫首相の問責決議が可決された場合や、
会期内に法案が採決されない場合は、首相が衆院解散・総選挙に踏み切る
可能性があるとの考えを強調し、民主党をけん制した。政策協議のため民
主党の鳩山由紀夫幹事長との会談も呼び掛けた。これに対し、鳩山氏は同
テレビ番組で、総選挙準備が「完了していない」と認めつつも「逃げ腰に
なっていることは一切ない。受けて立つ」と言明した。伊吹氏は、参院
対テロ新法案が否決された場合の衆院での再議決について「憲法上の権利
だ」とした上で、「問責決議は法律のどこにも書いていないが、出される
と(08年度予算案と)予算関連法案の審議ができなくなる。重大な決意
をすることも選択肢の一つだ」と指摘した。

 

参院選での大勝後、勢いに駆る民主党は年内解散に持ち込めば政権交代
夢では無いはずだったが、まだ候補者そのものが決まっていない選挙区が
あるなど、準備段階であることは否めなかった。さらに野党共闘を掲げて
いる以上は、選挙協力や候補者の調整も必要であり、小沢代表の自民党
大連立構想や辞任騒動も相まって年内解散なら与党が過半数は維持出来
るとも見られるだろう。臨時国会の会期が、12月15日まで35日間延
長されたものの、本来の会期中に成立した法案は衆参両院で可決した改正
被災者生活再建支援法のわずか1本に過ぎない。確実に政権運営が滞って
いるのは間違い無く、それを打破するための解散に打って出るのか、福田
政権にとってはリスクの高い決断となる。現状の議席数を維持するのは極
めて難しいとしても、過半数を獲得出来れば民意を得たとするのか。吹き
始めた解散風はどの党を利するのか、注目したい。