政府の拉致問題対策本部が、拉致被害者家族の苦難の歩みをテーマにした
米国のドキュメンタリー映画「めぐみ−引き裂かれた家族の30年−」の
上映権を5万米ドルで買い取っていたことが分かった。「拉致を人権問題
として理解してもらおう」との目的で中学や高校にDVDで無料で貸し出
している。民間が制作した映画の上映権を政府が買い取るのは異例だ。

 

拉致問題の解決は現実問題として遠のくばかりだ。政府としては何もして
いないわけではないことをアピールするためにも、拉致問題を風化させな
いことに腐心しているのだろう。拉致被害者の象徴的存在である横田めぐ
みさんを扱ったドキュメンタリー映画の上映権を買い取ったこと自体は、
確かに異例のことかもしれないが、妙案ではあると思う。政府広報などを
打ったところで、いまいち心に響かないものだ。映画と言う視聴覚に訴え
るものなら、拉致問題を伝えやすい。風化が進む拉致問題を忘れないため
にも、政府はさらに力を注いで欲しい。