新日本の蝶野正洋が「呉越同舟タッグ」をまとめ上げ、プロレス界の「大
連立」に向け大きな勝利を挙げた。長州力獣神サンダー・ライガー、A
KIRA、ドラディション藤波辰爾と組んで、邪道、外道、TARU、
近藤修司、YASSHI組と対戦。蝶野は長州と藤波のサポート役に専念
し、歴史的タッグの勝利に貢献した。蝶野の危機感が、歴史的タッグを実
現させた。かつて盟主として頂点を極めた新日本から、内部対立で人気選
手が次々に離脱し、ファン離れを招いた。昨年12月「プロレス界再生の
ため」と熱い口調で藤波を説得し2年ぶりの新日本出陣を決断させた。

 

総合格闘技の人気に押されてプロレス界が凋落していく中で、盟主であっ
新日本プロレスからは離脱者が相次ぎ、それぞれが団体を立ち上げては
崩壊するなど、業界そのものが迷走しているのは間違いない。今回のドー
ム興行も観客動員数は3万人を下回り、大物を取り揃えたカードの割には
見劣りのする数字である。ファンが納得する内容で終わってしまっては、
これ以上の動員は見込めないのだ。メジャー、インディーを含めて団体を
まとめることは容易なことでは無く、新日が盟主の立場にあろうとも、ま
とめるだけの力はすでに持ち合わせていない。

 

特に純血路線を貫くプロレスリング・ノアは最も勢いのあるプロレス団体
ではあるが、あくまで無用な戦線拡大はしない方針である。かつての雄の
全日本プロレスも交流そのものは否定はしないであろうが、自身の団体そ
のものの財政が健全とは言えず、過度な交流は逆に屋台骨を揺るがしかね
ない。他の中小の団体などは言わずもがなである。まずは新日本プロレス
が盟主たる資格を取り戻すことが先決だ。大連立とは名ばかりのただの弱
者連合では戦う前から敗北は見えている。