台湾立法委員選挙は、与党・民主進歩党が歴史的惨敗を喫し、陳水扁総統
の党主席辞任という事態に発展した。初の台湾人政権を誕生させながら成
果に乏しい陳政権の執政8年に対し、有権者が複雑な思いを抱えながら「
ノー」を突きつけた格好だ。圧勝した最大野党・中国国民党は次の照準を
3月の総統選に合わせ、8年ぶりの政権奪還に動き出す。「台湾人意識」
を根付かせた民進党は巻き返しを図れるのか、真価が問われる。

 

中国が自国領であると主張する台湾であるが、事実上は立派に独立した民
主国家そのものである。中国が事実上の一党独裁体制であるのに対して、
台湾は政党がいくつもあり、それらが民主的な選挙の元に選挙戦を戦い、
議会を構成している。そのような民主国家が我が国の南方に控えているの
は海洋国家である我が国にとっては、大きなメリットである。どうしても
中国にばかり目がいってしまうものだが、台湾とは国交は無いものの親密
な関係でありたいものだ。

 

8年前に国民党から政権を奪取した民進党であったが、経済が低迷し格差
が拡大するなど、有権者にとっては民進党の失政を看過出来ないと判断し
た結果であろう。我が国でも先の参院選年金問題や格差拡大が有権者
動かし、与党の大敗北に繋がったのも記憶に新しい。国民党がこの勢いに
乗って総統選でも勝利を収める可能性が高まってきた。民進党の反撃が実
るか見守りたい。