ブッシュ米大統領は28日午後9時すぎから議会の上下両院合同会議で、
内政・外交の施政方針を示す任期最後の一般教書演説を行い、米経済につ
いて「短期的には成長が減速している」と現状認識を示した上で、減税に
よる総額1500億ドル規模の緊急経済対策法案の早期可決を議会に要請、
景気後退阻止に決意を示した。また温暖化対策で発展途上国向けに20億
ドル規模の国際基金創設を提唱、昨年の米軍増派に伴うイラクの治安改善
も強調した。ブッシュ大統領の一般教書演説は7回目だが、これまで言及
してきた北朝鮮については、核問題や人権問題を含め初めて触れなかった。

 

任期最後の一般教書演説となったブッシュ大統領。順風満帆な政権運営
出来ていれば、最後の締めくくりとして華々しく終えられたのであろうが、
サブプライムローン問題で経済の低迷が現実となり、外交もイラク情勢が
多少の落ち着きを見せているとは言え、まだまだ不安定さは拭えない。こ
のままでは相当低い評価のまま任期を終えてしまい、歴史に汚名を残すこ
ととなりかねない状況だ。それだけは回避したいと北朝鮮の核問題の解決
に走ったわけだが、こちらも北朝鮮が核放棄に向けたプロセスを実施しよ
うとせず、どうにも手がつけられない有様である。残りの任期で一応の道
筋をつけられるとすれば、それは環境問題くらいのものであろう。世界最
大級のCO2排出国であり、この問題を切り込むことが出来れば、ブッシ
ュ大統領の功績は大きなものとなる。今こそ決断の時である。