労働新聞や朝鮮中央通信をはじめとする北朝鮮の官営メディアが、昨年1
2月19日の韓国大統領選以降、李明博氏の当選や今月25日に発足する
次期政権について全く報じていない。融和的だった過去の政権に比べ、核
問題や人権問題をめぐり、現実的な対北政策が予想される李明博新政権の
動向をうかがっているかのようだ。大統領選の結果について北朝鮮メディ
アが報じたのは「李会昌が大統領選挙でまたしても失敗した」と李会昌氏
落選に触れただけ。保守系ハンナラ党李明博氏が当選したことは選挙か
ら50日を過ぎても伝えられていない。

 

北朝鮮にとって韓国で10年間続いた革新政権は良い金づるだったのであ
ろうが、圧倒的大差で保守系李明博氏が当選を果たし、韓国民は対北朝
鮮政策の見直しを期待しているとも見えるのではないか。黙っていても、
と言うより横暴なことをしても断ち切られることの無かった金づるが、期
待出来なくなるとあっては、核実験を強行して米国の譲歩を勝ち得た戦略
に多少なりとも狂いが生じてくる。我が国との国交正常化が果たせれば、
支援と言う名の下の植民地時代の賠償請求をしてくるのであろうが、拉致
問題がある限りは、そう簡単に我が国の世論も北朝鮮との国交正常化を求
めたりはしない。現実路線に転換した韓国の新政権が、北朝鮮を大きく動
かすきっかけとなりそうだ。