大統領就任式直後に行われた日韓首脳会談で、福田康夫首相と李明博大統
領は「日韓新時代」という未来志向の関係構築を重視することを前面に出
した。ともに理念型よりも実利型といわれる性格がにじみ出た会談だった
といえそうだ。ただ、両国の間に横たわる懸案はほとんど取り上げなかっ
た。シャトル外交を再開させる中で具体化の作業を始めるが、福田首相
しては低落傾向に歯止めがかからない内閣支持率が今後のネックになると
みられる。

 

盧武鉉前大統領が実利よりも理念を前面に押し出したため、我が国との関
係は悪化の一途をたどってしまった。昔から近くて遠い国であった両国が
真の意味で近い国となるためには、両国共にわだかまりを捨てて手を携え
ねばならないが、それを実現するのはやはり理念よりも実利なのかもしれ
ない。李明博大統領も過去はもう問わないとしているものの、政権の支持
率が低下すれば、盧武鉉前大統領のように反日政策をカンフル剤として、
ぶち上げないとも限らない。未来志向と言う言葉にいったい何度騙された
ことであろうか。

 

むろん、日韓が連携をとっていかねばならない情勢なのも事実である。北
朝鮮の核放棄を実現するためには、韓国が援助の蛇口を大幅に締めた上で
我が国や米国、中国と言った周辺各国と協調し、放棄を実現せねばなるま
い。日韓の新時代の幕開けが良いものであって欲しいものだ。