マイナー契約からのメジャー昇格を目指すロイヤルズの野茂英雄投手が2
日、トルネード投法を捨て、メジャー入りを懸けることになった。この日
ブルペン投球もすべてセットポジションから32球を投げ込んだ。投球
後にマクルア投手コーチから「ワインドアップで投げないのか?」と質問
されると、野茂は右ひじを指しながら「ひじの状態を考えてのもの。今一
番しっくりくる形で今後もそうしていきたい」と説明した。オープン戦初
戦となった29日パドレス戦での31球もすべてセットポジションだった。
登板後に野茂はワインドアップで投げる時期について「分からないです。
腕に負担の来ないよう投げているので」と言葉を濁した。しかし、頭では
06年夏に手術した右ひじへの不安が払しょくされない限り、トルネード
を復活させない考えを固めていた。

 

今でこそ我が国の選手が大リーグで活躍する姿を当り前のように見ること
が出来るが、そのパイオニアとなったのは野茂投手なのでは誰の目からも
明らかであろう。2005年には日米通算200勝を達成したものの、最
近は年齢、ケガの影響もあってか十分な活躍は出来ていない。普通の選手
であれば、引退していてもおかしくない年齢だけに、あくなく挑戦を続け
る野茂投手は正に大リーグへの道を拓いたパイオニアの姿の象徴である。
我が国だけで無く多くの選手が海を渡り、大リーグへ挑戦し、その大半が
夢破れて消えていく。生き残れる選手がわずかだけに、野茂投手がメジャ
ー昇格を果たせるかは微妙である。それでも代名詞であるトルネード投法
を捨ててまで、メジャー昇格に賭ける姿はむしろすがすがしいものである。