中国製冷凍ギョーザの中毒事件で、中国公安省が有機リン系殺虫剤「メタ
ミドホス」の中国内での混入を否定する記者会見を開いて以来、ギョーザ
製造元の「天洋食品」の工場で、加工作業に携わる従業員のほぼ全員が退
職したことがわかった。10日までにほぼ全員が同工場宿舎から退去した
とみられる。混入した場所を巡って、日中捜査当局の見解は対立したまま
だが、関係者の分散で真相解明はいっそう困難になりそうだ。10日朝、
出勤してきた資材調達部門の男性社員は、「もう宿舎には誰もいない。い
つ再開できるかもわからない」と話した。同工場の従業員は約800人。
多くは住み込みの女性で、公安省の会見後に、会社側から退職手続きをす
るよう勧告を受けたとみられる。

 

我が国と言う顧客を失ってはこの「天洋食品」と言う会社も、業績が悪化
するばかりであったであろう。我が国でも昨年、食肉加工会社の「ミート
ホープ」が原材料の食肉を偽装し、それが発覚し破産。全従業員は解雇が
通告されたのも記憶に新しいが、「天洋食品」が「ミートホープ」と決定
的に違うのは、ここで製造された冷凍餃子にメタミドホスなる殺虫剤が混
入したと言うことである。そして、現実に日本人に被害が出ているのだ。
それがうやむやのままに、当事者たる従業員が解雇され四散してしまうの
では、事件の全容解明などとうてい覚束無いであろう。中国らしいと言え
ばそれまでかもしれないが、北京五輪を控えてこれ以上、食の安全に関す
ることを掘り下げられてはたまらなかったのか。胡錦濤主席の来日時には、
福田首相は改めて食の安全について問いたださねばなるまい。