AP通信などによると、中国チベット自治区で起きた大規模暴動は、周辺
地域に飛び火し、四川省北部のチベット民族自治州で16日、住民約20
0人が火炎瓶を投げて警察署に放火、当局側との衝突で少なくとも8人が
武装警察に射殺されたという。インドに活動拠点を置く非政府組織「チベ
ット人権民主化センター」の話として伝えた。抗議に参加した住民たちは、
警察車両や消防車にも火を付けた。投石で数人の武装警察官がけがをした。
地元警察当局者は女性二人を含む住民5人を拘束したという。同州内の僧
院では同日朝、数千人の僧侶が中国政府に掲揚を禁止されているチベット
の旗を掲げ「チベット独立」のスローガンを叫んだ。抗議デモは甘粛、青
海両省などのチベット民族居住地区でも起きている。また、北京のチベッ
ト関係者によると、中国警察当局は同自治区ラサでの暴動のリーダー役と
なったチベット人を特定するため、住民らの家宅捜索や厳しい取り締まり
に乗り出しているという。

 

チベット周辺にまで暴動の余波が及んでいるようだ。これを中国は武力を
もって抑え込もうとしているが、チベットの人々が自由を求めてデモをす
ること自体には問題はなかろう。ただ、それは自由主義に住まう日本人の
感覚であって、中国ではそのような行為は問答無用で潰しにかかる。中国
漢民族チワン族満州族回族・ミヤオ族など56民族から成り立つ
多民族国家であって、チベット族もその一つである。チベットが中国から
の独立を果たそうとすれば、他の民族にも当然波及する効果があり、何と
してでも防がねばならない。北京五輪を控えている中国とは言え、国際社
会からどれほどの批判を浴びようとも、その手を緩めることはないだろう。
あまりに情報が少なく、そして正確ではない中で、どれほどの死者や負傷
者が出ているのか、現地の様子はどのようなものなのか。国際社会が注視
している事件とは言え、中国は正確な情報など明らかにはしないであろう
し、するつもりもないはずだ。そんな状況だからこそ隣国である我が国か
ら、忠告の一つでもしてやってはどうかと親中派の皆さんには言ってあげ
たいものだ。