中国訪問中の自民党中川秀直元幹事長は23日、北京市内の釣魚台迎賓
館で戴秉国国務委員と会談した。戴国務委員はチベット自治区ラサで起き
た大騒乱で海外メディアを排除していることに関して「人身の安全が保証
できれば適切な時期に実現したい」と伝えた。中川氏は「海外メディアの
受け入れなど透明性を高めるとともに、政府とダライ・ラマとの直接対話
による平和的解決を期待する」と指摘。戴氏は直接対話の実現には回答し
なかった。中国製冷凍ギョーザ中毒事件に関しては「食と安全」に向けた
中長期的な協力強化などで一致。戴国務委員は馬英九氏が新総統に就任す
る台湾情勢について「平穏な政権引き継ぎが行われることを期待する」と
し、当面は静観する考えを示した。東シナ海のガス田問題は「事務当局の
静かな交渉を期待している」と述べるにとどめた。

 

チベットの動乱で、すっかりメディアでは中国製冷凍餃子中毒問題は報じ
られなくなってしまったが、問題は一切解決されていない。その辺を忘れ
てはならないだろう。胡錦濤主席は5月上旬には来日するとされ、それま
での地ならしとして中川元幹事長が派遣されたとの見方もあり、少なくと
も我が国は冷凍餃子中毒問題や東シナ海のガス田問題に関心を失っていな
いことを明確にする必要がある。さらに、チベットの動乱は中国内の問題
だけでは、もはや収まらないのだ。胡錦濤主席の来日時には動乱も収まっ
ているかもしれないが、海外メディアを締め出しての官製報道で動乱を総
括するようでは、すぐに綻びが出てくる。そのような綻びから、また問題
が起きかねないと言うことを中国側も承知はしているだろう。それでも押
さえ付けなくてはならないのは、何故かと言うことを再考せねばなるまい。