4月9日投票の韓国総選挙は25日、告示にあたる候補者登録が始まった。
登録は2日間で終わり、27日から公式選挙運動が始まる。昨年12月、李
明博大統領が大差で当選し、与党となったハンナラ党は総選挙でも圧勝を見
込んでいた。しかし閣僚人事のつまずきなどで李大統領の人気が下落したの
に続き、大統領派が朴槿恵前党代表派の追い落としを図った総選挙候補者公
認がらみの党内紛などが響いて、同党の支持率も急落した。特にここ数日、
朴槿恵氏が党指導部を痛烈批判したり、李大統領派の公認候補者らが苦境脱
出を狙って大統領の実兄、李相得国会副議長の総選挙不出馬を要求するなど、
騒動が拡大している。最大野党・統合民主党現有議席137)とハンナラ
党(同113)の逆転は確実だが、同党による過半数(150議席)確保は
楽観できないとの見方が出ている。

 

与党候補を圧倒し就任した李明博大統領。その勢いをかって総選挙でも一挙
過半数を得ようとしたハンナラ党であるが、思わぬ内紛によって苦戦を強
いられる可能性が出てきた。最大の問題は最後までハンナラ党内で大統領選
の候補者を争った朴槿恵前党代表との関係がギクシャクしていることにある。
朴前代表は同志の多くが公認漏れとなり「公正な公認を約束したのにだまさ
れた」と怒りの記者会見を開くなど、反発を見せている。さらに経済再生を
期待されて誕生した李政権だが、金融不安、原油高、ウォン安で経済環境は
悪化する一方で、勢いをかって総選挙でも大勝するとの思惑は、厳しいもの
となりつつあるようだ。国民の期待を背負って新大統領となっただけに、ち
ょっとの失敗が国民から見ると大きな裏切りとなる。期待の大きさはリスク
の大きさでもある、と言うことではなかろうか。