北朝鮮による拉致被害者で、中央大学法学部に復学していた蓮池薫さんが
25日、中央大八王子キャンパスで行われた法・文学部の卒業式に出席し、
「みなさんが助けてくれたおかげ。これから色々なことに挑戦し、24年
間を取り戻したい」と述べる一方で、帰国を果たせていない被害者に触れ
て「政府に積極的に動いていただき、拉致問題を解決してほしい」と訴え
た。薫さんは紺色スーツに青色ストライプのネクタイ姿で、他の卒業生か
ら「おめでとうございます」と祝福され、笑顔で握手する場面も。式には
父、秀量さん、母、ハツイさん、兄、透さんも参列し、卒業を見守った。

 

まずはご卒業おめでとうございますと言いたい。蓮池さんは昭和53年7
月、法学部3年生の時に拉致され、消息不明のまま除籍となっていたが、
平成14年10月に帰国し16年9月に復学を果たしていた。拉致と言う
卑劣な行為に巻き込まれ、本来送っていたであろう1年半あまりの大学生
活を失っただけでなく、母国にすら帰れない状況が24年も続いたのだ。
翻訳の仕事で注目を浴びる蓮池さんだが、復学後は仕事の合間も通信教育
を受け続け、それが実っての卒業となった。いつの間にか拉致問題がメデ
ィアで報じられることが少なくなり、風化していく中で、今なお母国の土
を踏めずにいる被害者がいることを、我々は忘れてはならないだろう。