韓国の聯合ニュースによると、北朝鮮は28日午前10時半ごろ、黄海
で対艦ミサイル「スティックス」3発前後を発射した。韓国政府当局者は
事実関係を確認したうえで「韓国軍が北朝鮮軍の動向を綿密に注視してい
る」と述べた。韓国政府は非常警戒体制を取るとともに、ミサイル発射の
背景を分析している。北朝鮮は冬季軍事訓練中で、ミサイル発射は訓練の
一環と見方がある一方、北朝鮮が、核放棄を求める李明博政権の対北政策
に反発、27日に開城工業団地で韓国政府職員を追放したことなどから、
韓国政府への威嚇との観測も出ている。北朝鮮は昨年6月にも、日本海
向け短距離ミサイルを発射している。一方、朝鮮中央通信によると、北朝
鮮外務省報道官は28日、談話を発表し、米国が指摘するウラン濃縮やシ
リアへの核協力について「米国が引き続き根拠のないことを指摘するなら
ば、核無能力化に深刻な影響が及ぶこともある」などと警告した。

 

李明博大統領が核放棄をすればそれに対する見返り=支援をすることを打
ち出しことによって、北朝鮮はこれまでのように無条件での支援を受ける
ことが難しくなった。融和路線が韓国にとっては何ら実利をもたらさない
と李大統領が判断したことによるものだろうが、正にその通りであろう。
盧武鉉前大統領は莫大な支援を北朝鮮に投じたものの、北朝鮮の姿勢が変
わることは無かった。むしろ、それらの支援を受けて当たり前とも見て取
れた。盧武鉉前大統領も意地になって支援を繰り返し、その結果が核開発
につながっていたとすれば、笑えない話である。今回の対艦ミサイルの射
程距離は短いもので、韓国に対する兵器であることは間違いない。なし崩
し的に進むかに思われた米国のテロ支援国家の指定解除も、現在のところ
は実施されておらず、北朝鮮のシナリオ通りには話は進んでいない。次の
出方を計っていると言ったところであろうか。