民主党の重鎮、レイヒー上院司法委員長は28日、地元バーモント州
ラジオインタビューで、同党の大統領候補指名争いで劣勢にあるヒラリー
クリントン上院議員には「もはや勝算はない」との見方を示し、選挙戦
から撤退してバラク・オバマ上院議員の支持に回るよう求めた。検事出身
のレイヒー氏は、極秘盗聴問題などブッシュ政権のスキャンダル追及の急
先鋒に立ってきた実力者で、既にオバマ氏支持を決めている。レイヒー氏
は、共和党のマケイン上院議員よりもクリントン氏の方がオバマ氏を激し
く攻撃しているとの認識を示し、民主党内の争いが長引けばマケイン氏が
「漁夫の利」を得ることになると警告した。

 

民主党の大統領候補の指名争いは、通常であればとっくに勝負が付いて
いる時期なのだが、今回はクリントン氏・オバマ氏と言う初の女性大統領
候補、初の黒人大統領候補が実現するかの戦いであり、民主党員にとって
も注目する選挙となっている。そのため、当初は劣勢にあったオバマ氏が
連勝につぐ連勝でクリントン氏を引き離しにかかるも、大票田ではクリン
トン氏が勝利し、その差は縮まっている。だが、それは決着の時期を遅ら
せるものであり、すでに候補を決めた共和党を利する可能性もある。それ
を恐れてのヒラリー氏への「撤退勧告」だったのであろう。票がほぼ二分
されている状況は、候補者が決まった際に少なからず禍根を残すことを意
味する。ブッシュ政権の支持率が低迷し、共和党候補が不利とされる中で
民主党の白熱する候補者指名争いは、不利を挽回するチャンスにも成り得
るかもしれない。