ガソリンの暫定税率の期限切れを迎えた1日朝、全国の販売激戦区の給油
所では店頭価格を引き下げる動きがじわりと広がった。未明に早くもレギ
ュラーガソリン価格を25円引き下げた24時間営業の店舗には消費者が
押し寄せ、周辺にも値下げが波及し始めた。課税済みの在庫を抱えて据え
置く給油所も値下げの広がりに神経をとがらせる。政治が招いた混乱の新
年度に消費者や石油業界が奔走している。未明に25円値下げし119円
での販売を始めた東京都大田区キグナス石油系の給油所は「朝5時ごろ
からお客が途切れない」と、2人いる従業員がフル稼働。4―5台の給油
待ちの車の列ができることも。満タンにした40代の男性客はレシートを
みて「こんなに安いのは久しぶり」とにんまりする。暫定税率の期限切れ
で税負担は1リットル約25円軽くなるが、蔵出し税であるため、大半の
店舗は課税済みの在庫を抱える。当面の様子見を決め込む給油所は多い。
都内で146円の看板を掲げる店舗の店長は「在庫があるので追随したく
ても無理。お客もかなり奪われている」とあきらめ顔だ。

 

福田首相は税率維持を盛り込んだ税制改正法案の参院送付から60日が経
過する今月29日以降、衆院で再議決する意向を表明しており、消費者に
とっては束の間の値下げとなる可能性もある。民主党の狙いは一度値下げ
されたものが、再度値下げされたとなると、消費者の与党への反発は必至
であり、福田政権の支持率は一気に低迷し、政権を機能不全に陥れること
にある。国民の生活が第一、と主張しながらも結局は国民生活の混乱をも
たらしているのは民主党である。我が国の政治は迷走しているが、結局の
ところはそのツケを払うのは国民なのだ。再値上げが予想される中で、消
費者が買い溜めに走る可能性もあり、単純にガソリンスタンドが混む混ま
ないの話で済むことではない。ガソリンをポリ容器で保管すると、気化し
てキャップ部分からもれ出し、静電気などで引火することもあり、消防法
で禁止されている。再値上げするにせよ、暫定税率の期限が切れているの
は現状であり、政府は混乱が起きないようにその対応をすべきであろう。