アルピニスト野口健さんが19日に予定していたチベット側からのチョ
モランマの清掃登山を、ネパール側からのコースに変更したことが1日、
分かった。北京五輪聖火リレーが山頂を目指すチョモランマに、ゴミが
あることを認めたくない中国政府から許可が下りなかったという。野口さ
んは一昨年から、エベレストで清掃登山を行っている。ネパール側から登
ったこともあったが、北京五輪が開催される今年は「中国の環境は世界の
環境問題につながる」として、チベット側からの登山を申請。回収したゴ
ミを北京に運び、展示することを計画していた。ところが、「チョモラン
マが汚れていることが公になっては困る。清掃登山は共感できない」とす
る中国政府の意向で昨年10月、不許可となった。野口さんによると、過
去2回のチベット側からの清掃登山で約8トンのゴミを回収した。

 

ゴミでチョモランマが汚れていることは大いに悲しむべきことであろう。
自らの身を危険に晒してまで、ゴミを回収しようとしている野口さんに対
して中国政府のとった対応は、あまりにひどいものだ。ゴミで汚れている
実態が明らかになったところで、中国に何のデメリットがあると言うのか。
おそらく、それらのゴミの大半は外国の登山隊が残していったものであろ
うし、むしろ野口さんを後押しし他国によってチョモランマが汚されてい
るとアピールする機会であったのではなかろうか。野口さんはブログで、
チベットでの大規模な騒乱について「これ以上の非人道的な行為が繰り返
されるならば、ボイコットという最終手段が選択肢に入るのは止むを得な
い」と宣言しており、今回の不許可が中国側の意趣返しであるとするなら、
あまりに子供染みた発想としか言いようが無い。このような姿勢だからこ
そ、チベット問題では外国から注文をし続けられるのだ。