フランスのヤド外務・人権担当相は5日発行のルモンド紙とのインタビュ
ーで、サルコジ大統領が北京五輪の開会式への出席に関し、中国政府とチ
ベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世との対話など3つが条件になる
とし、中国側が応じない場合、開会式の出席見送りも辞さないとの姿勢を
示した。3条件はダライ・ラマ14世の対話のほか、チベット住民への暴
力停止と政治犯の釈放、チベット騒乱の真相解明で、ヤド氏は「今後の推
移をみたうえでフランスが議長国となる欧州連合加盟国と協議して(開会
式に出席するかどうか)決める」と述べた。サルコジ大統領の対応は今後
のEU全体の出方にも影響を与えそうだ。

 

遠く欧州では中国に対する厳しい姿勢が見られるものの、海を隔てた隣国
の我が国ではほとんどそのような姿勢は見られない。福田首相は開会式の
ボイコットを求める意見に対して「中国政府も努力をしている最中に、五
輪に参加しないとか言うべきではない。日本と中国は近い関係にあるのだ
から冷静に判断しないといけない」と不快感を顕にしているが、冷静と無
関心の違いがわかっているのであろうか。言うべきことは言う、それが正
しい友好関係なのではないか、国際社会においてだんまりを決め込むと言
うことは、容認していると捉えられても仕方の無いことだ。チベット問題
は中国が思った以上に、世界に波及しており、これまでのようにメディア
を締め出す程度では収束しそうには無い。平和の祭典とされる五輪を控え
ているからこそ、中国には真摯な態度を見せるべきであろう。