北朝鮮にフランス人女性3人が拉致されていたとの情報が最近、仏紙フィ
ガロに異例の大きな扱いで掲載された。拉致事件はフランスではほとんど
知られておらず、「悪夢のような話」と読者から驚きの声が上がっている。
記事を書いたのはフランソワ・オテール記者。拉致問題への国際世論喚起
を目指す日本政府の招きで3月末に訪日し、拉致被害者支援団体「救う会
西岡力常任副会長らに取材。「アジアの富豪の息子」と称する男にパリ
で誘惑され、中国経由で平壌へ連れ去られた女性を含め、70年代末に北
朝鮮がスパイにフランス語を教えさせる狙いで拉致したフランス人女性が
3人いると19〜20日付の同紙で2面ぶち抜きで伝えた。同紙の読者欄
には「なぜ日本だけが真実を知るために戦っているのか」「仏政府も事実
の解明を進めてほしい」といった声が相次いで寄せられた。24日には一
部メディアが仏外務省に確認を求めるなど反響を呼んでいる。 

 

拉致の被害を受けたのは我が国だけでは無い。それを国際社会に広く伝え
ることが出来れば、我が国の拉致被害者の家族にとっては強力な援軍を得
ることにも繋がるのだ。そう言う意味では国際世論を喚起するために、日
本政府が外国の記者を招待し、支援団体を取材させたのは良い手法である。
欧州各国は北朝鮮と国交を結んでいるが、フランスだけは国交が結ばれて
いない状況だ。2月には朝鮮中央通信が、フランスの外務省代表団が1月
29日から2月2日まで訪朝、北朝鮮の外務省、農業省、教育省、文化省
などの担当部門と両国関係をはじめ相互の関心事項について意見交換した
と報じていたが、果たしてこの報道がそれにどの程度影響を与えるかは、
未知数であるがフランスにとっても看過は出来ないことだろう。事実上、
拉致問題は日朝間だけの問題に過ぎなかったが、このように被害を受けた
国々が連帯することが、大きな力となるのは言うまでも無い。