チベット人権問題への中国政府の対応を巡り、世界各地で混乱が起きた北
京五輪の聖火リレーが26日、長野市の全長約18.7キロのコースで行
われた。リレーを盛り上げようと早朝から集結した中国人留学生らと、右
翼やチベット支援者らが市内各所で小競り合いを繰り返し、中国人4人が
軽傷を負い、走者の前に飛び出した男3人が逮捕されるなどトラブルが相
次いだ。「中国 加油(ジアヨウ、頑張れ)」と「フリー チベット(チ
ベットに自由を)」の叫び声が交錯する中、警官約90人に守られた聖火
リレーは「市民不在」のまま終了した。

 

大量に動員された中国人留学生や本国からの応援なのかは分からないが、
とにかく圧倒的な量の五星紅旗が振り回され、いったいここはどの国なの
だろうかとの印象を受けた。走者に物が投げ入れられるなどトラブルはあ
ったものの、聖火が消されたり奪われると言った大過は無く、運営側はと
りあえず安堵したことであろう。もはや何のための聖火リレーかは置き去
りにされ、トーチを守るのに警官が90人も投入しなければならなかった
のは何故なのか。「ある意味気持ちがいいもの。トップランナーで聖火を
持って走るというのは」とのコメントは首を傾げざるを得ないし、「スポ
ーツの祭典なのに、残ったのは寂しさです」とのコメントは、物々しい雰
囲気に包まれた中でのリレーでの嘆きを感じるのである。