中国の胡錦濤国家主席は6日午後、羽田空港に到着し、5日間の日本公式
訪問を開始した。胡主席は到着後、書面談話を発表し、「日本側と共に努
力し、戦略的互恵関係を全面的に発展させるという新局面を切り開くこと
を希望する」と期待感を表明。その上で「訪日は必ず所期の目的を達成で
きる」と自信を示した。中国国家元首の来日は1998年11月の江沢民
国家主席以来。胡氏自身の訪日も、国家副主席時代以来10年ぶり。胡主
席は書面談話で、今年が日中平和友好条約締結30周年に当たることに触
れ、「両国関係がさらに発展する新たなチャンスを迎えている」と強調。
今回の訪日を通じて「相互信頼を増進させ、友好を強化するとともに、協
力を深化し、未来の計画を立てることを望む」と呼び掛けた。

 

10年ぶりの国家主席の来日も、それ自体に内容を伴わなければ意味が無
い。良くも悪くも中国はすさまじい勢いで経済成長し、世界における立場
は名実ともに大国と言える存在にまでなった。その一方で自国にとって都
合の悪い情報は隠し、国内においては情報統制を強めている。むろん、そ
の統制の綻びから漏れ出す情報もあるが、頬かむりをして煙に巻く印象が
強い。東シナ海のガス田の共同開発問題、中国製冷凍餃子による中毒事件
が議題となることであろうが、胡錦濤国家主席にとっても、我が国に外交
上の問題で折れることは、中国内で弱腰、軟弱と批判される可能性がある。
ただ、親中派とされる福田首相相手には譲歩する気などさらさらないとも
言えそうだ。胡錦濤国家主席の来日に合わせて、東京都内ではチベット
題への中国政府の対応に抗議する集会が開催され、約2000人がチベッ
トの旗を掲げ、「フリー・チベット」とシュプレヒコールを繰り返し、デ
モ行進をした。チベット問題がまだ収まっていないことを、アピールする
手段としては効果はあったのではなかろうか。