中国の胡錦濤国家主席は6日午後、専用機で羽田空港に到着、5日間の日
本公式訪問をスタートさせた。胡主席は同日夜の福田康夫首相主催夕食会
で、パンダ2頭を貸与する考えを表明した。福田首相は6日夜、都内のレ
ストランに胡主席を招き、少人数の非公式夕食会を開催した。席上、胡氏
は「雄と雌のパンダを研究目的で日本に提供する」と述べ、日本政府が要
請していたパンダ2頭の貸与に応じる意向を示した。パンダは上野動物園
に貸与される見通しだ。これに先立ち、胡主席は書面で談話を発表し、「
日本側と共に努力し、戦略的互恵関係を全面的に発展させる新局面を切り
開くことを希望する」と表明した。また、今年が日中平和友好条約締結3
0周年に当たることに触れ、「両国関係がさらに発展する新たなチャンス」
と指摘。今回の訪日を通じて「相互信頼を増進させ、友好を強化する」と
強調した。

 

パンダの貸与が決まったとは言え、手放しで喜んで良いものか。研究目的
と言うことは、年間1億円以上を中国に支払うことになる。パンダで商売
をしている方々にとっては、上野にパンダがいるいないでは天と地ほどの
差があるかもしれないが、友好ムード演出のためにパンダが利用されてい
るのは言うまでもなかろう。両国関係をさらに発展させるには、懸案事項
を棚上げにすること無く、解決に向けて話し合わなければならない。むろ
ん、話し合いの中で、パンダを貸してもらったのだから、と譲歩する必要
など無かろう。今年が日中平和友好条約締結30周年に当たるとは言え、
過剰な配慮は誤ったメッセ―ジを送りかねない。日中をライバルとするの
では無く、パートナーとする真の意味での戦略的互恵関係の構築は建前で
終わらせてはならないのだ。