米大統領選の民主党候補指名争いで、バラク・オバマ上院議員が9日、特
別代議員9人の支持を新たに獲得し、これまでリードを奪われていた対立
候補のヒラリー・クリントン上院議員とほぼ肩を並べた。これまでクリン
トン氏を支持していたドナルド・ペイン下院議員がオバマ氏支持にくら替
えしたのをはじめ、ハワイ、ニューメキシコサウスカロライナ、カリフ
ォルニアなどの各州の特別代議員がオバマ氏支持を表明。米政府職員でつ
くる労働組合の米国政府職員連合も、特別代議員のジョン・ゲイジ委員長
以下、オバマ氏支持に回った。一方、クリントン氏は特別代議員2人を獲
得。AP通信によると、これでクリントン氏の特別代議員数272.5人
に対し、オバマ氏は271人とほぼ並んだ。4カ月前には169対63で
クリントン氏が大きくリードしていた。CNNの集計によれば、代議員獲
得数はオバマ氏が1860人で、指名獲得に必要な2025人まであと1
65人に迫っている。クリントン氏は1696人。

 

クリントン候補は6月にも指名候補争いからの撤退、つまり敗北宣言をす
る予定とのことだが、さらにオバマ候補は指名を勝ち取った場合、クリン
トン候補を副大統領候補に選ぶ可能性を排除しないと述べている。特別代
議員の獲得数で大幅にリードしていたはずの、クリントン氏がここまでの
追い上げを許してしまったのは、各州の予備選でオバマ氏が連勝を重ねて
勢いを付け、言葉は悪いが勝ち馬の尻に乗る判断をした特別代議員が増え
たことによるのではないか。敗者側に付くよりは、勝者側に付く選択をす
ること自体は当然と言えば当然である。そのような流れを大票田とされる
州でせき止めることが出来なかったため、獲得代議員数の差も同様に開く
ばかりであった。異例の長期戦となり、早々に候補を固めた共和党を利す
る結果になりかねない情勢に、名誉の撤退をクリントン候補が迫られてい
るのかもしれない。党を二分せんばかりの熾烈な戦いにようやく終止符が
打たれそうだ。