四川大地震の被災地で活動していた日本の国際援助隊は20日、同省での
捜索活動を終え、21日未明にも帰国する。地震発生から1週間以上がた
ち、生存者救出の可能性が低くなったことから中国政府と協議して撤収を
決めた。援助隊によると、20日夜に成都入りする医療チームと交代する
形で、同隊の乗ってきたチャーター機で成田空港に向かう。小泉崇隊長は
「中国側の受け入れに経験不足の面があり、必要な情報が得られず、ただ
ちに活動に入れないなど残念な部分もあった」とした上で、「最終的には
本来の力を発揮して任務は果たせた」と述べた。日本の援助隊は第1陣が
15日に日本を出発、北京経由で四川省成都市に入り、翌16日に同省青
川県で捜索にあたり、倒壊した病院宿舎で母子2人の遺体を発見。第2陣
と合流後の18日からは北川チャン族自治県に移動し、北川第一中学校と
市街地で14遺体を収容したものの、生存者の発見はならなかった。

 

中国の要請で派遣された我が国の国際救助隊。最新の装備と豊富な経験が
期待されていたものの、やはり過ぎ去った時間の大きさは計り知れなかっ
たようだ。地震発生後、すぐの要請であれば遺体収容と言う残念な結果に
は終わらなかったかもしれない。だが、これを悔やんでいても仕方あるま
い、中国が経済成長に邁進してきた中で、置き去りにされてきたことの一
つである、地震を始めとした天災への対策を、数万の犠牲者とその何十倍
もの被災者を前に考えるきっかけとなったのであれば、せめてもの救いだ。
援助隊と交代で派遣されることになる医療チームも、劣悪な環境下での生
活を余儀なくされている被災者にとって心強い援軍となるであろうし、そ
うならなければなるまい。そのためにも必要な情報を中国側が提供し、医
療チームが力を発揮出来るような体制を築いて欲しいものだ。地震対策に
文字通り国境は無い、蓄積されたノウハウは必ずや両国の役に立つことで
あろう。