民主党鳩山幹事長は23日の記者会見で、後期高齢者医療制度廃止法案
を武器に、政府・与党への攻勢を強める考えを示した。廃止法案の参院
過を想定している6月4日には、東京・巣鴨の地蔵通り商店街で、4党党
首による街頭演説を行い、世論に訴えることも予定している。野党の政策
責任者会議では当初、廃止法案の提出は時間がかかると見られていた。後
期高齢者医療制度の代替制度を盛り込むことも検討していたからだ。だが、
「とにかく早く参院に提出して可決し、衆院に送付するのが最優先だ」と
して、従来の老人保健制度に戻す内容とするにとどめた。ただ、民主党
身が2000年11月の参院国民福祉委員会で、老健制度には問題がある
として「新しい高齢者医療制度を作るべきだ」とする付帯決議を提案、可
決しており、「老健制度にただ戻すだけというのは極めて無責任」との批
判が与党からあがっている。厚労省の推計では、06年に10・8兆円だ
った老人医療費は、後期高齢者医療制度の導入などで25年に約25兆円
に抑制できるが老健制度を存続させた場合は約30兆円になるとしている。

 

厚労省の推計をそのまま信用することは出来ないが、急速に少子高齢化
進む中で医療費が膨らんでいくのは間違いは無かろう。後期高齢者として
一括りにするのは失礼かもしれないが、すでに我が国の人口の1割、12
70万人が後期高齢者となった。政府や自治体が制度を周知してこなかっ
た責任は重いが、果たして制度を周知していたところで、どれだけの高齢
者が理解出来たか疑問も残る。むろんそれでも、わかるまで徹底的に説明
するのが彼らの責務なのは言うまでも無いが、なかなか難しいところであ
ろう。一方の野党のやり方も、かなり低レベルなものだ。とりあえず後期
高齢者医療制度を廃止し、これまでの老人保健制度に戻す、としか示して
おらず場当たり的な対応としか言えない。これで高齢者の支持を得られる
とでも思っているのであろうか。だとしたら、高齢者を愚弄している。8
年前に老人保健制度に問題があると提案し、可決していながら、その問題
がある制度に戻そうとする。後期高齢者医療制度が問題あると言うのなら、
問題無い制度作りを提案せねばなるまい。責任になすりつけ合いに終始す
るようでは、国民は間違いなく政党を見放すであろう。