靖国神社に祭られているA級戦犯を、旧海軍ゆかりの東郷神社分祀すべ
きだ。東郷神社宮司の松橋暉男氏が来月出版する著書「幻の揮毫」で、
神社関係者では異例の提言を行う。全国8万神社をまとめる神社本庁は「
分祀神道の教義上できない」との見解をとっているが、傘下の有力神社
の「A級戦犯受け入れ」表明は、分祀論議に拍車を掛けそうだ。同書は、
A級戦犯合祀が中国などの反発を招いた問題は、首相参拝が行われなくて
も解決しないと指摘。論争が収まった「今こそ真剣に取り組むべき時だ」
と訴える。そのために、東郷神社境内の「海の宮」にA級戦犯を合祀する
よう提唱。神社本庁などの主張通り靖国神社に「御霊」が残っても、東郷
神社に「移った」と見なして「ご遺族は心おきなく新しい座にお参りする
ことができる」ようになるとしている。

 

いったいこの宮司は何を言い出すのだろうか。日露戦争の英雄である東郷
平八郎を祀る東郷神社に、いわゆるA級戦犯分祀する必要性がどこにあ
ると言うのか、大いに疑問である。中国や韓国が首相の靖国神社参拝につ
いて文句を言ってくるからと言って、教義上出来ないことをやった上に、
分祀出来たと言い繕うなど実に愚かなことだ。そんなことをして誰が喜び
と言うのであろうか。取ってつけたような真似をして、神道の教義を汚し
御霊を侮辱する。心置きなく新しい座にお参り出来るなどと、本当に思っ
ているのか。分祀論議をすればするほど、この問題は無茶苦茶なものとな
っていってしまう。自国の祭祀を他国に口を出されて修正を行うなど、普
通の国では有り得ない話だ。そもそも霊と言うものを、そう簡単にあちこ
ちに移せるほど軽い考えしか持っていないのなら、もはやただのご都合主
義であるとしか言いようが無い。