客が食べ残した料理を使い回していた高級料亭「船場吉兆」が廃業する方
針を固めた。28日午後に発表する。女将の湯木佐知子社長が全従業員に
伝え、同日中に取引先の金融機関にも説明するという。同店は牛肉産地偽
装事件などで経営が悪化し、民事再生手続き中だった。今月上旬の使い回
しの発覚で客離れが一層進み、収益を確保できる見通しが立たなくなった。
同社は昨年10月以降、賞味期限の不正表示や牛肉や鶏肉の産地・原材料
偽装が相次いで発覚。昨年11月、不正競争防止法違反容疑で大阪府警
捜索を受けた直後から約2カ月間にわたり休業した。大阪地裁に民事再生
法の適用を認められ、3月に営業を再開していた。

 

船場吉兆の命運は客が食べ残した料理を使いまわしていた事実が発覚した
時点で尽きていた。もはや吉兆グループ各社からの支援を受けようにも、
グループの面汚しとなった船場吉兆を助ける意義は何処にも無かった。1
84人いた従業員を希望退職などで約70人まで減らし、一連の表示偽装
で問題となった物品販売も中止し、心機一転と言うところでの使いまわし
の発覚。偽装問題の時に全ての膿を出し切れれば、船場吉兆の命運は今し
ばらくは保てたのかもしれないが、不祥事が続々と発覚することで吉兆ブ
ランドを完全に損なわしめた。これでは高級を売り物にしてきたことを自
ら否定するものであり、食に対する裏切りである。廃業するのも、また当
然の流れであるとしか言いようが無い。