日中両国の懸案である東シナ海ガス田開発問題は、最終合意に向けて秒読
みの段階に入った。双方の立場はほぼ溝が埋まっており、中国が日中中間
線付近で単独開発している白樺に日本がどこまで出資するかが残る焦点だ。
中国側も16日、重大な進展があったとする声明を公表、近く正式合意を
発表する見通しだ。中国外務省の姜瑜副報道局長は16日、ガス田問題に
ついて「重要な進展があった」との談話を出した。一方、岩城光英官房副
長官も同日の記者会見で「14日の日中外相会談で細目を詰める作業を加
速させることで一致した。最終的な詰めの作業が残っている」と、決着に
向けて最終調整に入ったことを明らかにした。

 

日中友好の精神に基き合意がなされたとは、単純に考えるわけにはいくま
い。中国にとって何らかのメリットがあってこその妥協だと思うが、そう
考えるとどうにも素直に歓迎出来ない部分がある。もともと中国は一方的
に、我が国が主張する日中中間線の中国側の少し手前で開発を進め、我が
国側にあるはずの資源まで持っていかれてしまう恐れがあり、我が国とし
ても試掘をすべきであったが、政権が変わるたびに二転三転し、試掘は行
われなかった。協議が停滞し、ガス田の試掘することを示唆すると、中国
は軍艦を出すと脅しをかけてくるなど、これまでの対応を見る限りでは、
中国が態度を変えてきたのは疑問が残る。我が国に譲歩をすることで、果
たして中国国内からどの程度の突き上げが出てくるのか。合意が成立して
良かったで終わるとは到底思えない。少なくとも日中中間線の境界を守り、
東シナ海を平穏な海とせねば国益に関わるのだ。