福田康夫首相は17日午後、都内で主要8カ国通信社のインタビューに応
じ、消費税について「日本は世界有数の高齢化社会だ。その国が5%でや
っている。だからこれだけ財政赤字を背負っている。その辺のところを決
断しないといけない。大事な時期だ」と述べ、税率引き上げは不可避との
認識を表明。決断の時期を探っていることを示唆した。今秋の税制抜本改
革では、首相が打ち出した道路特定財源一般財源化の具体化が課題とな
る。加えて、基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1に2009
年度から拡大するため、消費税を含む幅広い検討が必要となる。首相の発
言は消費税増税を排除せず、本格的に議論する意向を示したものだ。首相
は同時に、「国民世論がどう反応するか一生懸命考えている」と述べ、世
論の動向を慎重に見極める考えも示した。首相は一般財源化に当たって、
少子高齢化や環境問題への対策を重視するとしている。首相としては、こ
うした方針を貫くことで消費税上げに国民の理解を得たい考えとみられる。

 

異例の長期政権を築いた小泉元首相も、在任中は消費税については自らの
言葉では語らずに、ただ先送りしてきたばかりであったが、福田首相が消
費税の税率引き上げの不可避を明言したことで、そう遠くないタイミング
での引き上げが見えてきた。国民世論としては、ただでさえガソリンや食
品の価格が上がっていると言うのに、増税とは何事かと言ったところであ
ろう。それだけに増税を打ち出した後、解散・総選挙となれば与党の大敗
は避けられない。それでも、あくまで首相主導でやるのだとすれば、与党
からは福田降ろしの動きが出てくるのではないか。税金の無駄遣いを無く
し、少しでも健全な収支に近付けた上で、引き上げた消費税は社会保障
に充てるのが理想だろうが、この無駄遣いが相当に根が深いものとなって
いる。官僚の聖域に手を突っ込んで、その根を引き抜くくらいの気概があ
れば、福田首相の消費税引き上げ構想も少しは理解が得られるのではなか
ろうか。もはや反転上昇の目が消えたかに見える福田政権で、懸案事項に
ついて一定の目処をつけて、頃合いをみて総辞職、新しい首相の下で解散
総選挙で過半数は確保、とのシナリオが成立するかは、この引き上げ発言
に対する世論の反応でわかるであろう。