東シナ海ガス田問題をめぐる日中の共同開発合意について、東シナ海の権
益は日本に一切譲るなと主張してきた中国の愛国主義系ウェブサイトには
19日までに「売国条約への第一歩」「中国外務省は人民をばかにするな」
などの書き込みが殺到した。厳しい言論規制を実施している中国で、政府
への過激な非難が表面化するのは珍しい。今回の合意に反発し、中国政府
を「弱腰」と受け止める声が根強いことを印象付けた。反日系団体「中国
民間保釣(尖閣防衛)連合会」のサイトでは「(中国外交当局者は)中国
の屈辱史を新たに書き換えた」などの批判が噴出。「(共同開発合意は)
21世紀の下関条約だ」と嘆く声も出た。下関条約日清戦争後に結ばれ、
当時の清朝が台湾などを日本に割譲することに合意した。このほか新華社
人民日報系などの大手サイトでも、合意が「妥当な結論」などとする声を
反対意見が大きく上回った。

 

東シナ海ガス田問題が、日中間で一応の解決を見たところで、中国国内で
は予想通りの反応が起きたようだ。共同開発合意が21世紀の下関条約
どと例えるのは、全く筋違いの話だと思うが、少なくとも我が国に中国が
譲歩したと言う点では、それを弱腰、軟弱であると罵倒するのは、分から
ないでもない。我が国においても、中国が日中中間線の中国側で一方的に
開発を進めていた中で、何故日本側でも試掘を行わないのかと言った雰囲
気はあった。それを政権や所管の大臣が変わるたびに二転三転したために、
いらだちばかりが募っていた。とは言え、ここまでの言葉で政府を非難す
るようなことは無かった。中国政府としても、噴き上がる批判の声を無視
することは、さらなる政府批判を招きかねず、厳しい対応を迫られること
になるのではないか。約束を反故にすることは無いにせよ、我が国に何ら
かの要求をしてくることも十分に予想しておかねばなるまい。中国内の国
内事情を逆手にとって、より有利な条件を引き出すことが出来れば上々で
はなかろうか。