高村正彦外相は20日午前の記者会見で、北朝鮮が核申告すればテロ支援
国指定解除の手続きに入るとしたライス米国務長官の発言に関し「米国の
立場は、解除の際には拉致問題を含む日朝関係の進展ぶりも考慮に入れ、
日本政府と密接な連携を取っていくことで一貫している。変わったわけで
はない」と述べた。また、高村氏は「日本は同盟国として、拉致を含む日
朝関係の進展についても(指定解除を)カードとして使わせてもらう立場
だ。もっと使えるのではないか」と述べ、指定解除は時期尚早との認識を
強調。来週の日米外相会談でもこうした立場を伝える考えを示した。 

 

ブッシュ政権も末期となり、何らかの外交成果を残したいと判断を下した
のか、北朝鮮が偽り無く核申告をすればテロ支援国家指定の解除をすると
のライス国務長官の発言は、我が国にとっては裏切られた感もある。さす
がに福田首相はシーファー米駐日大使に「拉致問題は日本にとって重要だ」
と述べ、拉致問題での北朝鮮の具体的な対応を見ながら、テロ支援国家
定の解除を慎重に判断するよう要請している。北朝鮮の狙いはあくまで、
テロ支援国家指定の解除であるから、それが成されれば拉致問題など歯牙
にもかけないであろうが、過去の清算として我が国からの経済支援を引き
出すために、国交正常化交渉の過程で拉致問題の情報を小出しにしてくる
可能性もある。いずれにしても、北朝鮮にお墨付きを与えるようなテロ支
援国家指定の解除には、きちんとした理由が伴わなければならない。