ライス米国務長官は23日、北朝鮮に対して核問題について協議を続ける
と同時に、日本人拉致問題についても、米国は忘れず解決に向け圧力をか
け続けるとの見解を示した。米国は、北朝鮮6カ国協議の合意に基づく
核計画に関する申告を近く行うと期待しており、申告の実施次第、ブッシ
ュ政権は北朝鮮に対するテロ支援国指定解除手続きに入る見通し。ただ、
6カ国協議の当事国である日本にとって、北朝鮮による日本人拉致問題
非常に重大な問題であり、両国の国交正常化の障害になっている。日本は、
拉致問題の解決前に米国が北朝鮮に対するテロ支援国指定を解除すること
に懸念を表明している。ライス長官はベルリンに向かう機内で「米国は日
本人拉致問題を棚上げしたり、忘れたりしないことを明確にしてきた」と
述べた。一方、日本のメディア報道では、北朝鮮は核計画申告を26日に
行うとされているが、米国務省の報道官は、米国としては、まだはっきり
した日時を把握していないという。

 

米国が北朝鮮に対するテロ支援国家指定の解除は、我が国にとっては避け
なければならないことだが、ブッシュ政権が指定解除の手続きに入るのは
間違い無いようだ。ライス国務長官北朝鮮による日本人拉致問題を棚上
げしたり、忘れたりしないと言うものの、ライス長官は残り数か月で任期
が切れてお役御免になるのである。もはや、その言葉を額面通りに受け止
めるわけにはいかないであろう。北朝鮮が申告する核計画の内容をきちん
と精査した上で、テロ支援国家指定の解除の手続きに入るべきであって、
申告したら手続きに入るのはおかしな話だ。米国がそのような流れを作っ
ていく中で、我が国はその流れに乗るだけでは、単なる盲進的な対米追従
に他ならない。拉致問題を置き去りにするなと、もっとアピールしていく
べきではないか。北朝鮮テロ支援国家指定が解除されると言うことは、
6カ国協議の当事国が北朝鮮にお墨付きを与えたも同然である。我が国と
しては、少なくとも拉致問題が解決しなければ、国交正常化など有り得な
い、と言うことを明確にすべき時だ。