北朝鮮は27日午後、寧辺の核施設にある原子炉の冷却塔を爆破した。6
カ国協議の合意に基づき、北朝鮮が26日に核計画を申告し、米国はテロ
支援国の指定解除を議会に通告。これらに続く冷却塔爆破は、核放棄プロ
セスの「進展」を象徴的に演出する狙いがある。爆破されたのは原子炉の
廃熱を処理する冷却塔。訪朝しているソン・キム米国務省朝鮮部長も寧辺
入りし、爆破の様子を視察。「極めて重要なステップだ」と評価した。米
情報当局は衛星などでこの冷却塔から上がる水蒸気を確認しながら、原子
炉の動きを追ってきた。既に無能力化作業が施されているが、爆破により、
原子炉の再稼働が1年程度は困難になったとみられる。爆破は当初、無能
力化のさらに次の核廃棄段階で行われる計画だったが、北朝鮮が核放棄へ
の意志をアピールできると考え、現段階での実施に同意した。 

 

すでに使用していない設備の破壊にすぎない爆破公開など「ショー」その
ものではないか。もともと老朽化した施設であり、爆破してしまったとこ
ろで北朝鮮にとってはすでに用済みなのだ。寧辺の核施設では、毎月約7
50グラムのプルトニウム生産が可能とされ、2002年に稼働を再開し
て以来、核兵器5、6発分のプルトニウムを抽出したと推定されている。
そう言ったプルトニウムの行き先がはっきりしないことには、北朝鮮の非
核化は成立しない。米国がテロ支援国家指定の解除の手続きに入ったよう
に、米朝関係が急速に改善されていく中で、我が国は完全に置き去りにさ
れた感が拭えない。米国と歩調を合わせて北朝鮮と対峙するのみであった
ため、主体的な行動が果たしてとれるのかは疑問であるが、このままなし
崩し的に進む事態を見守るだけでは、話になるまい。