自民党小泉純一郎元首相は3日、都内で講演し「福田康夫首相の手で衆
院を解散するのか、別の人がするのかが政界の最大の関心事だ」としたう
えで「『追い込まれ解散』になる前にできるだけ有利な時期を選んで解散
する。首相はそういうものだ」と指摘した。首相が自ら解散・総選挙に踏
み切るべきだとの考えを示したもので、「福田降ろし」に向けた与党内の
動きをけん制したとみられる。内閣改造に関しては「私が想像するに難し
い。今の閣僚はよくやっているが、自前の人事ではない点を気にしている
だろう」と改造に踏み切るかどうかの判断は難しいとの認識を示した。「
衆院議員の任期はあと1年しかないので、改造したら自分の手で解散する
と思う人が多くなる」との見方も披露した。

 

いつ解散総選挙となるか、与野党にとって常に最大の関心事であろう。小
泉元首相の発言はねじれ国会のもとで、苦心する福田首相への援護射撃と
見て良いが、考えてみれば小泉元首相は組閣に際して、いわゆる派閥の論
理に従わず、自分で選んだ人物を一本釣りするような形で組閣を行った。
ただ、これは小泉元首相が圧倒的な国民的人気を誇っていたこともあり、
党内の反発を抑え込むことが可能であった。その点、福田首相は派閥の論
理のよって誕生したのであって、そう簡単に自分の考えだけを押し通すこ
とが出来ないのではないか。小泉元首相は「首相の最大の力の源泉は解散
権と人事権だ。これで失敗したら退陣しかない」とまで言い切ったものの、
果たして福田首相には自分なりの組閣をすることが出来るのであろうか。