福田康夫首相は6日午後、北海道洞爺湖町のホテルでブッシュ米大統領
約1時間15分会談した。北朝鮮が提出した核計画申告を厳正に検証し、
完全な核放棄を迫ることで一致し、拉致問題でも日米の連携を強めること
を確認した。米国がテロ支援国指定解除の手続きを取ったことに対し、日
本側では「拉致が置き去りになる」との懸念もあるが、大統領は会談後の
共同記者会見で「この問題で米国は日本を見捨てることはない。置き去り
にすることはない」と言明した。福田首相ブッシュ大統領の会談は2回
目。6月に米政府が指定解除を議会に通告してから、両首脳が直接会って
意見を交わすのは初めて。

 

残りわずかの任期のうちに、何らかの成果を残しておきたいとの誘惑に駆
られたのか、ブッシュ大統領北朝鮮に対するテロ支援国家指定の解除の
手続きに入るよう議会に通告し、我が国を落胆させた。そのブッシュ大統
領が洞爺湖サミットのために来日し、福田首相と会談して拉致問題を置き
去りにすることはないと言明したわけだが、果たしてその言葉をどこまで
信じて良いものであろうか。現実にテロ支援国家指定の解除と言うカード
は切られてしまい、拉致問題はカードとして機能しなくなってしまった。
あくまで拉致はテロであるとして、テロ支援国家指定と絡めてきたと言う
のに、指定の解除は拉致を置き去りにした結果ではないか。「米国の東ア
ジア外交にとり日米同盟は礎だ」との発言も、中国の台頭によって我が国
が素通りされてしまうかもしれない状況に、全面的に信頼することは難し
い。日米同盟が形式だけのものにならないよう、福田首相は米国に対して
言うべきことは言わねばなるまい。