7日開幕した主要国首脳会議を契機に、参加国の枠組みをめぐる論戦が本
格化している。フランスや英国が、現行の主要8カ国では地球規模の問題
に対処できないとするのに対し、日本や米国は現状維持を譲らない。米国
では「先進民主主義国による会合」との原点回帰を求め、G8からロシア
除外を主張する“純化論”さえある。日本も、拉致問題など自国が直接か
かわる問題だけではなく、世界各地の人権や民主主義など「共通の価値」
を積極的に取り上げていく構えだ。拡大か純化か、サミットは今、岐路に
立っている。サミット拡大論に関しては、フランスのサルコジ大統領が中
国やインドなど5カ国を加えた「G13」を主張しているほか、ブラウン
英首相も中印の参加を唱えている。

 

重要な議題を話し合い結論を出す場としてよりも、もはや政治ショーとし
ての印象の方がはるかに強いサミット。ただでさえ、各国の利害がぶつか
り合う中でこれ以上参加国を拡大することは、ますますサミットを形骸化
させるだけではないのであろうか。我が国としては、アジア唯一のサミッ
ト参加国としての地位を中国に譲るわけにはいかず、現状維持を求める米
国と歩調を合わせるのは当然であろう。確かに英仏の言うのように地球規
模の問題に対処するのに、主要8カ国では心もとないかもしれないが、数
だけ増やせば良いものでもなかろう。まずやるべきはサミットの形骸化を
どうにかすることではないか。参加国を増やしても、結局は今までと変わ
らないのでは意味が無いのだ。それらを如何に解消するか、全てはそれか
らではなかろうか。