中国共産党宣伝部はこのほど、北京五輪の生中継を10秒間遅らせて放送
するよう全国各地のテレビ局に通知した。選手らがカメラの前で政治的行
動をした場合などに対応するための措置。8日付香港紙、明報が伝えた。
外国人選手らが競技場で政治的スローガンを掲げたり、チベット旗を掲げ
たりした場合、放送する画面を切り替え、視聴者に見せないようにする。
こうした措置はこれまで国内で開かれた国際大会でも取られたという。一
方、中国の通信社、中国新聞社によると、中国中央テレビのスポーツチャ
ンネル幹部は8日、北京五輪では慣例を破り、時間差を設けない生中継を
同テレビ史上初めて実施すると述べており、完全な生中継が実現するかど
うかが注目される。

 

自国開催の五輪ですら、生中継で観ることを許されないとは、いったい何
なのであろうか。スポーツの祭典で選手が政治的行動をとること自体は、
確かにあまりに好ましいものではないが、だからと言ってそれを国民には
観せないとあっては、隠蔽体質もここに極まれりである。この党の通知に
反発する形で、中国中央テレビが完全な生中継を実施するとしており、地
域によっては生中継で観ることが可能になるかもしれない。ただ、中国の
報道機関は、民主主義国と違って、あくまで中国共産党の宣伝機関と考え
ねばなるまい。言論の自由が保障されていない以上、正しい報道がされる
ことに期待は出来ないのだ。都合の悪いものには、どんな手段を使ってで
も蓋をする。生中継を10秒を遅らせて放送するとの通知に見てとれる。