自民党加藤紘一元幹事長は10日、「拉致被害者5人を北朝鮮に返すべ
きだった」とする自らの発言に批判が集中したことを受けて、「拉致被害
者の方々には一時も早く戻っていただきたいのは当然で、ご家族の方々の
お気持ちを察すると言葉を失います。拉致という犯罪で日本人の人生を奪
った北朝鮮に強い怒りを感じます」などとする釈明文を自らのホームペー
ジに掲載した。加藤氏は7日放送のBS11番組「西川のりおの言語道断」
の発言録を紹介した上で、自らの発言の真意を「拉致という罪を犯した北
朝鮮から『日本は約束を守らなかった』といわれてはならない。日本人の
誇りを大切にすべきだ」という意味だと説明した。

 

加藤氏は発言の真意については「北朝鮮が拉致を認めて謝罪したあの時、
一気呵成に交渉を進め、全面解決を図るべきだった。しかし、北朝鮮に『
日本は約束を破った』という不信感と口実を与え、交渉が途絶える一因を
作った」などと説明しているものの、加藤氏こそ拉致被害者及びその家族
に拭いようの無い不信感を与えたのではないか。批判が集中したことで、
止む無く軌道修正を計ったようにしか思えない。拉致被害者北朝鮮に返
す必要が、いったいどこにあると言うのか。拉致被害者は我が国の国民で
あって、最も楽しい年月を無理矢理に拉致されたことで奪われたのだ。拉
致がようやく北朝鮮の仕業であったことが明らかになり、祖国の土を踏む
ことが出来たにも関わらず、約束だから滞在期間が過ぎたら北朝鮮に戻れ、
と果たしてあの時に言えたのであろうか。釈明に追われるくらいなら、黙
っていた方がまだマシである。