自民党中川秀直元幹事長は19日午後、広島県東広島市で講演し、福田
康夫首相が内閣改造に踏み切る場合、経済成長を重視し安易な消費税引き
上げに反対する「上げ潮派」を重用すべきだとの考えを示した。中川氏は、
町村派が先に特別会計の余剰積立金である「埋蔵金」など総額50兆円規
模の財源を捻出し、社会保障費などに活用するよう求める提言を発表した
ことに言及。その上で「2011年度のプライマリーバランス黒字化とい
財政再建目標を先送りせず、国民生活再建と両立させるべきだ。そのた
めに提言を参考にし対応策を取る人を閣僚にしていただきたい」と語った。 

 

我が国が再び経済成長路線を実現するには、外需頼みの構造を何とかしな
ければならないであろう。だが、肝心の内需の方が原油高や原料高が家計
を直撃する中では、大きな期待も出来ない。例えば日本百貨店協会が18
日発表した6月の全国百貨店の既存店売上高では、ボーナス時期にも関わ
らず前年同月比7・6%減となり、消費者の節約志向が色濃く出ている。
そんな中で安易な消費税引き上げに反対するのは結構なことだが、上げ潮
派の面々がどのような対応を取れるのか。特別会計の余剰積立金であるい
わゆる埋蔵金を捻出し、社会保障費などに充てて急場を凌ぎ、同時に国民
生活を再建させる。確かに聞こえは良い提言であるが、経済成長による税
収増を目指すには、単に国民生活を再建させるだけで十分なのであろうか。
大風呂敷を広げておいて、閣僚の席を求めるのでは、ただの猟官運動と思
われても仕方あるまい。