中国共産党中央委員会政治局は25日、インフレを抑制しつつ健全な成長
率を維持することが、2008年下半期の経済政策の優先課題との認識を
明らかにした。国営テレビが声明を伝えた。経済の過熱回避に焦点を当て
たこれまでの声明からトーンが大幅に変化した。今回の声明では、成長維
持において一段と困難に直面しつつあると指摘し、政府はマクロ経済政策
の安定性と一貫性を保つ方針を示した。「安定的で高い成長率を維持し、
過度の物価上昇を抑制することをマクロ経済管理の最優先課題とする必要
がある。インフレ抑制を優先課題の中で主要な位置付けとすべきだ」と述
べた。政府は「金融・財政上」の調整を進めるべきとしたが、金融政策の
「引き締め」を継続するかについては言及しなかった。また、通商政策の
変更の可能性や為替政策にも触れていない。ただ、貿易の安定的な成長が
望ましいとの見解を示した。

 

中国は急激な成長を続け、都市と農村の格差は開くばかりとなっている。
さらに都市の住民の間でも格差は開き続け、確実に不満が溜まってきてい
る。だが、成長を止めるわけにもいかず、健全な成長に移行するために中
国政府も腐心していることであろう。特に北京五輪が終わった後に、如何
に過熱する景気を軟着陸させていくか、バブルと言われる中国経済にとっ
ては、それが成功するかによって、国家の舵取りに大きく影響してくるの
だ。我が国と違い、中国は共産党が独裁体制を敷いている以上、ドラステ
ィックな改革も実現可能であろうし、横暴とも言うべき政策も取ることも
出来る。いざとなれば何でもやってしまいそうな、そんな印象すら受ける
中国であるが、人件費の安さから「世界の工場」としての地位を築いたも
のの、近年では人件費高騰、人民元の上昇、労務問題など進出した企業に
とって、マイナスの要素が増え続け、製造系の外資系企業が中国から工場
を移すケースも出てきた。安定的な成長、それが理想とは言えども、そう
簡単なことでは無さそうだ。