福田首相が近く内閣改造自民党役員人事に踏み切るとの観測が与党内で
強まる中、「ポスト福田」候補とされる麻生太郎前幹事長の動向に注目が
集まっている。麻生氏は昨年9月、自民党総裁選で福田氏に敗れて以来無
役に甘んじているが、積極的に遊説に出かけ、10カ月間で約150回、
2日に一度というペースで講演会をこなした。内閣支持率の低迷にあえぐ
福田首相にとって、高い人気がある麻生氏を重要閣僚や党幹部に起用すれ
ば、政権浮揚効果が期待できる上、党内の結束を演出し、麻生氏が倒閣運
動に走る可能性を封じることもできる。実際、首相は昨年9月の組閣時、
麻生氏に入閣を打診した経緯があり、自民党町村派内では「今回は入閣を
受け入れるのではないか」との見方がある。

 

昨年9月の自民党総裁選では、ポスト安倍の最有力の位置に付けながらも、
総裁選を前にして麻生包囲網があっと言う間に形成され、一気に福田総裁
誕生の流れが作られてしまった。だが、各派閥が福田支持を固めたものの、
一枚岩とはいかずに、明確に麻生支持を打ち出す議員も出て、結果として
は麻生氏も善戦呼ぶべき票を獲得した。この時点で惨敗していれば麻生氏
ポスト福田の候補として名が挙がることは無かったであろう。国民的人
気のある麻生氏を福田改造内閣に取り込み、政権浮揚を図るとの見方もあ
るようだが、それでは福田政権が倒れた時に、麻生氏も潰されかねず、入
閣を受け入れるかは微妙なところだ。それに、主要閣僚になれば野党がポ
スト福田の最右翼である麻生氏に対して攻勢を強め、人気を下落させるこ
とも考えられる。沈みゆく自民党の中で、「福田おろし」が加速した場合、
麻生氏がどう動くか、他派閥の動きと合わせて注目せねばなるまい。