中国国営新華社通信によると、新疆ウイグル自治区カシュガル市内で4
日午前、国境警備に当たる武装警察隊の施設に手投げ弾2発が投げ込まれ
て爆発し、警官16人が死亡、16人が負傷した。犯人2人がトラック2
台に乗って突入し、手投げ弾を投げた。2人は既に逮捕されたという。8
日の北京五輪開幕を直前に控え、警備態勢を強化する中での事件だけに、
中国の治安状況に対する不安が一段と高まりそうだ。中国当局が「五輪開
催の最大の脅威」と位置づけるウイグル独立派によるテロの可能性もある。
香港の人権団体・中国人権民主化運動情報センターは、犯人は爆薬を積み
込んだ車で建物に突入、自爆テロを図ったと伝えている。

 

五輪を直前に控えて、予想通り手薄な地方でテロが発生した。どんなに警
備体制を強化しようとも、完璧な警備などとうてい有り得ないのだ。力で
封じ込めたところで、必ずその反動がやってくる。北京は地対空ミサイル
まで配備されている始末だが、首都一辺倒の姿勢が果たして地方からはど
う見えているのか。五輪とはそこまでしないとならないものなのか、と言
う疑問が残るのだ。ただし自治区での事件とは言え、中国当局が受けた衝
撃は大きなものだろう。だがそれ以上に、警備に100万人以上を動員し
てまで、五輪を成功させたいと考えている一般大衆は地方にはほとんどい
ないのは間違いないはずだ。都市部のエリートの支持しか集められない五
輪に価値を求めるのは、酷かもしれないが。