中国・瀋陽で開かれていた日本と北朝鮮の公式実務者協議は13日未明、
日本人拉致問題の再調査について北朝鮮側が可能な限り今秋までに終了し、
結果を出すことなどで合意した。日本は北朝鮮の調査開始と同時に航空チ
ャーター便の乗り入れ規制など2項目の経済制裁を解除する。ただ、詰め
残した要素も多く、福田政権に打撃となるリスクもはらんでいる。「何で
こんなに再開が遅れたんだ」。13日未明、中国・瀋陽市内のホテルに現
れた宋日昊朝日国交正常化交渉担当大使は憤まんやるかたない表情を見せ
た。12日の会合は午前から5時間の協議を経て休憩に入った後、再開ま
で10時間かかった。双方が本国に交渉内容を報告する過程で、「日本政
府から合意内容が不十分との注文がついた可能性」があったようだ。

 

再調査は「生存者を発見し帰国させるための全面的な調査」と位置付けら
れているものの、果たして北朝鮮が誠実な対応をするのか、これまでの過
程を見ていると大いに疑問が残る。米国が北朝鮮に対するテロ指定支援国
家の指定解除を先送りにし、北朝鮮としては肩透かしを食らい、どうすれ
ば指定解除が実現するかを思案しているところであろう。再調査を今秋ま
でに終了すると言うのも、米国の大統領選も控えていることを考慮してい
るはずだ。ただし、調査開始と共に一部の制裁が解除されるようだが、あ
る程度調査の進み具合を見極めてから解除する方が得策ではなかろうか。
むろん、再調査を引き出すための交渉材料として、制裁解除のカードを切
らざるを得なかったのはあるだろうが、これまで何度となく煮え湯を飲ま
されてきた相手である。一筋縄ではいかないと考えた方が良いだろう。