北京五輪は16日、大会日程の半分を終えた。だが、国際社会に約束して
いた報道の自由や抗議集会を認めようとしない中国への批判とともに、現
状を座視する国際オリンピック委員会への不満が外国メディアの間で募っ
ている。「中国政府は人権問題と報道の自由に関する約束を守らなかった。
IOCは約束をほごにされて恥ずかしくないのか」。五輪公園のMPCで
ほぼ毎日行われているIOCの記者会見で14日、英国のメディアから厳
しい質問が飛んだ。これに対し、IOCの報道官は「五輪が社会体制に良
い影響を与えるかもしれないという希望が確かに2001年にはあった」
としつつ「多くの分野で尽力がなされたことは留意しなければならない、
競技がスムーズに行われているという事実を誇りに思う」と強調した。

 

中国が報道の自由や抗議集会を認めるとは思えなかったが、チベットでの
動乱や新疆ウイグル自治区でのテロなど、不穏な空気が流れ始めたとあっ
ては余計にではないか。中国当局は国内メディアに対する報道規制も継続
し、開会式の少女の“口パク”問題に関する記事掲載を禁じ、過去の記事
もネットから削除させている。事実を隠蔽するような処置としか言いよう
がないが、自国に都合の悪い報道につながる取材活動を妨害する方針を取
り続ける限り、中国は外国メディアから信頼をされない国になるであろう
し、本来であれば中国のためにもならないはずだ。それでもIOCは「北
京五輪の評価は閉会後に行う」との立場を取り続けているのは、いったい
どういうわけなのか。五輪を招致する際に報道の自由の拡大を公約としな
がらも、この有様ではどう評価するのか見ものである。