第29回夏季オリンピック北京大会は24日、当地の国家体育場で閉会
式を行い、17日間の祭典に幕を下ろした。次回2012年大会はロン
ドンで開催される。アジアで3回目となった夏季五輪には史上最多の2
04カ国・地域が参加した。中国が威信をかけて開催した大会は厳重な
警備もあり、運営はスムーズ。最新鋭の施設の効果もあり、43の世界
記録、133の五輪記録が生まれる記録ラッシュとなった。地元中国が
51個の金メダルを獲得、五輪史上初めて金メダル数で1位になった。
日本のメダル総数は25個(金9、銀6、銅10)だった。閉会式では、
競泳男子平泳ぎで史上初の2大会連続2冠を達成した北島康介が日本国
旗を持って入場した。国際オリンピック委員会ジャック・ロゲ会長は
「本当に特別な大会だった」とスピーチ。五輪旗が次回開催地ロンドン
のジョンソン市長に手渡され、聖火台の火は静かに消えた。英国のサッ
カー選手、デービッド・ベッカムも登場、サッカーボールを右足でフィ
ールドに向かってけり込んだ。

 

メインスタジアム周辺に地対空ミサイルが配備されるなど、異様なまで
の厳戒態勢で開催された北京五輪。その甲斐あって五輪そのものは無事
に終了したと言って良いだろう。ただ、五輪が政府主導の大会であるこ
とは明らかであり、観戦席も空席が目立つなど、果たして中国の国民が
五輪に対して関心を持っていたのか、多少の疑問が残る。例えば空席が
あればボランティアを動員して埋まっているように見せかける、と言っ
た表面の取り繕いは見事としか言いようがないが、力を入れる点が少し
違うのではないかと思ってしまう。我が国の成績は前回のアテネ五輪
とはいかなかったが、2大会連続2冠を達成した北島康介選手のように、
記憶に残る結果が多かったのではないか。だが、その反面アテネ五輪
活躍した選手が、北京でも活躍すると言うケースも多く、世代交代が今
後の課題であろう。何はともあれ、何事も無く五輪が終了したことは何
よりであった。むろん中国は五輪の総括をきちんとして欲しいものだが。