福田康夫首相は1日夜、首相官邸で緊急に記者会見し、退陣する考えを表
明した。8月の内閣改造後も求心力は回復せず、政権運営の継続は難しい
と判断した。首相は自民党総裁選の実施を指示。今月中旬に新総裁が決ま
り次第、正式に内閣総辞職する。首相が二代続けて1年足らずで辞任する
事態となり、野党は「無責任きわまりない」などと批判。与党内では新首
相が今秋に衆院解散・総選挙に踏み切るとの見方が強まっている。首相は
記者会見で辞任理由について「国民生活を考えた場合、態勢を整えた上で
国会に臨むべきだと考えた。新しい布陣で政策実現を図っていかなければ
いけない」と強調した。参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」を念頭
に「私が首相を続けて国会が順調にいけばいいが、私の場合には内閣支持
率の問題もある」などと言及。

 

今回の突然の辞任劇は事実上の福田降ろしによるものと考えて良いだろう。
安倍前首相と同様に、内閣改造をして臨時国会を前にした政権投げ出しに
対する国民の怒りは大きいものがあるはずだ。それでも、今このタイミン
グで辞めなければならなかったのは、もはや福田政権下では衆院選は戦え
ないとの空気が想像以上に強かったのではなかろうか。特に連立を組む公
明党との間には微妙な隙間風が吹き始め、来年には都議会選がある都合も
あり早期解散を求められていた。福田首相の辞任によって、自民党は後継
総裁を選ぶことになるが、自民党の総裁選はちょうど民主党の代表選とス
ケジュール的にバッティングすることになる。無投票での3選が固まった
民主党と、ポスト福田を目指す候補が戦う自民党とでは、やはりマスコミ
の露出が違ってくるだろう。それが単純にプラスの効果をもたらすかと言
えば、そう簡単ではあるまいが。おそらく国民的人気があるとされる麻生
幹事長が、後継総裁となるのが既定路線と思われるが、総裁選の顔ぶれ次
第では流れは変わる可能性も否定出来ない。