大相撲のロシア出身で兄弟力士の幕内露鵬十両白露山が尿検査で大麻
陽性反応を示した問題で、日本相撲協会は8日、東京・両国国技館で緊急
理事会を開き、北の湖理事長辞意を受け入れ、同時に新理事長を互選し、
満場一致で武蔵川事業部長を選出した。北の湖前理事長は理事にとどまる。
露鵬の師匠の大嶽親方は委員から平年寄に降格、兄弟力士は解雇処分とな
った。理事会に先立って行われた同協会の再発防止検討委員会では、両力
士を個別に呼び、ドーピング(禁止薬物使用)検査機関の精密分析で示し
大麻成分の数値が、吸引を判断する上で定められた尿中濃度の基準値に
対し、露鵬が五倍、白露山が十倍だったことが告げられた。ある委員から
は「2日の簡易検査の際に、露鵬から『6月のロサンゼルス巡業で吸引し
た』と聞いた」という話も明かされ、厳しい処分を求める声が相次いだ。

 

このところの相撲協会の動きは、明らかに危機管理能力の欠如が見られ、
抜き打ち検査でロシア出身の兄弟力士が大麻の陽性反応が出ても、信頼の
おける検査機関で調べるべきとの姿勢を崩さなかった。再度の検査を依頼
した三菱化学メディエンスはWADA(世界反ドーピング機関)公認の最
も精度が高い機関で、同じように陽性の反応が出ても、北の湖理事長は「
本人はずっと否定している」と検査をやり直す意向を示したが、ここまで
きて再々検査を求めるのはいささか往生際が悪いのではないか。結局、北
の湖理事長は辞任することとなったが、あまりに遅い決断であったとしか
言いようがない。国技とされる相撲がこのような事態に陥り、ファンの信
頼を失ったことは大きく、早急な信頼回復策を新理事長のもとで断行すべ
きだ。ゼロからの出発などと言う生易しいものでは無く、マイナスからの
出発である。そのことを忘れてはならないだろう。